「実家が農家で、親が土地を持っているので、その土地に家を建てたい」
「新潟市の市街化調整区域にある親の土地を利用して住宅を建てられないだろうか?」
「土地代を抑えるため、実家の近くに家を建てたい」
このようなご相談を受けることがあります。
新潟市では、住宅価格や土地価格、建築資材などのコストを考えると、新たに土地を購入して住宅を建築することが大きな負担になるケースもあります。
そのため、親が所有している土地に住宅を建てることを検討する方も少なくありません。
しかし、その土地が市街化調整区域にある場合には注意が必要です。
市街化調整区域では、原則として自由に住宅を建築できるわけではなく、都市計画法上の許可などが必要となる場合があります。
その代表的な制度の一つが「分家住宅」です。
今回は、新潟市の市街化調整区域で分家住宅を建てる場合の考え方や条件、さらに分家住宅以外の制度についても、行政書士がわかりやすく解説します。
分家住宅とは?
「分家住宅」とは、簡単にいうと、市街化調整区域で長年生活してきた本家の親族などが、本家から独立して住宅を建築する場合に認められる住宅です。
例えば、
- 実家が農家である
- 親が市街化調整区域内に土地を所有している
- 子どもが結婚して独立する
- 親の近くで生活したい
- 親が所有する土地に住宅を建てたい
といったケースです。
ただし、
「親の土地だから自由に家を建てられる」
というわけではありません。
市街化調整区域では、土地を所有しているというだけでは住宅を建築できないことがあります。
分家住宅として認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。
なぜ市街化調整区域では住宅を建てにくいの?
都市計画では、地域を大きく「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることがあります。
市街化区域は、住宅や店舗などの市街化を進める区域です。
一方、市街化調整区域は、基本的に市街化を抑制する区域です。
そのため、
「土地を持っているから家を建てる」
という考え方が、そのまま認められるわけではありません。
特に農地の場合には、都市計画法だけでなく、農地法上の農地転用などについても確認する必要があります。
したがって、市街化調整区域に住宅を建てたい場合には、
「この土地に住宅を建てることができるのか?」
ということを、建築計画を進める前に確認することが非常に重要です。
新潟市で分家住宅を建てるための主な要件
新潟市で分家住宅を検討する場合には、申請者や土地、本家となる親族などについて、一定の要件があります。
主なポイントとして、次のような事項を確認する必要があります。
① 申請者が本家の親族等に該当すること
申請者について、一定の親族関係があり、さらに本家の世帯構成員であったことなど、所定の要件を満たす必要があります。
単純に、
「親の土地だから子どもが建てられる」
という制度ではありません。
親子、兄弟姉妹など、どのような親族関係にあるのかを確認することが必要です。
② 親などから土地を取得・使用する関係があること
分家住宅を建てる土地について、
- 相続
- 贈与
- 使用貸借
など、親などから土地を取得または使用する関係があることが要件となる場合があります。
土地の所有者と申請者の関係、土地をどのように使用するのかについて確認が必要です。
③ 親などが一定期間その土地を所有していること
分家住宅の対象となる土地について、親などが一定期間所有していることが要件となる場合があります。
新潟市の制度では、一定の条件のもとで所有期間の取扱いが変わる場合もあるため、土地の取得時期だけで判断せず、個別に確認することが重要です。
④ 既存集落内またはその周辺であること
分家住宅を建築する土地についても、どこでもよいわけではありません。
既存集落内またはその周辺であることなど、一定の立地条件を満たす必要があります。
そのため、
「親が土地を持っている」
ということだけではなく、
「その土地がどこにあるのか」
という点も非常に重要です。
⑤ 敷地面積についての要件
開発区域・敷地面積についても一定の基準があります。
新潟市の制度では、原則として一定面積以下であることなどが要件とされている場合があります。
ただし、土地の形状や利用上の事情によって取扱いが異なる場合がありますので、具体的な計画をもとに確認する必要があります。
⑥ 本家がその地域に一定期間生活していること
本家となる親などについても、対象となる集落またはその周辺に一定期間、生活の本拠を有していることなどが要件となります。
つまり、
「親がたまたま土地を所有している」
というだけではなく、
その地域に長年生活してきた本家から分家する
という制度趣旨が背景にあります。
⑦ 市街化区域内の土地の所有状況
親などが市街化区域内に住宅建築に適した土地を所有している場合には、分家住宅の要件との関係で問題になることがあります。
そのため、
「市街化調整区域の土地しか持っていないのか」
「市街化区域にも土地を所有しているのか」
など、親の所有不動産についても確認する必要があります。
⑧ 自分が住むための専用住宅であること
分家住宅として認められるためには、原則として申請者自身が居住するための専用住宅であることが重要です。
賃貸住宅や事業用建物などを建築する場合には、別の制度や許可要件を検討する必要があります。
「親の土地だから建てられる」は間違い?
よくある誤解が、
「親の土地なら、子どもは家を建てられる」
というものです。
これは正しくありません。
市街化調整区域の場合、
- 土地の場所
- 土地の地目
- 親族関係
- 本家の居住歴
- 土地の所有期間
- 市街化区域内の土地所有状況
- 建築する住宅の用途
- 敷地面積
- 農地転用の必要性
などを確認する必要があります。
したがって、土地を購入したり、住宅の設計を開始したりする前に、その土地で住宅を建築できるかどうかを確認することが重要です。
農地の場合は「農地転用」も必要になる
親から譲ってもらう土地が「田」や「畑」である場合には、さらに注意が必要です。
市街化調整区域内の農地に住宅を建てる場合、
都市計画法上の手続き
に加えて、
農地法上の農地転用
が問題となることがあります。
つまり、
「分家住宅の要件を満たしているから大丈夫」
というだけではありません。
農地転用が可能なのか、農用地区域に入っていないか、土地改良区との関係はどうかなど、農地側の確認も必要です。
このように、市街化調整区域の農地に住宅を建てる場合には、複数の法律・制度を一緒に考える必要があります。
分家住宅以外にも住宅を建てられる場合がある
ここは、現在の新潟市で住宅建築を考える方にとって重要なポイントです。
市街化調整区域では、「分家住宅」だけが住宅建築の選択肢とは限りません。
新潟市では、市街化調整区域の集落維持や活性化などを目的として、一定の区域・土地について住宅等の建築を可能とする制度があります。
そのため、
「自分は分家住宅の要件を満たしていないから、調整区域には絶対に家を建てられない」
と考えるのは早計です。
土地によっては、別の制度を利用できる可能性があります。
新潟市の条例による市街化調整区域での住宅建築
新潟市では、市街化調整区域における集落の維持・活性化などを目的として、一定の区域・土地について開発許可制度を補完する仕組みが設けられています。
こうした制度の対象となる区域では、従来の分家住宅とは異なる形で住宅などを建築できる可能性があります。
例えば、
- 既存集落区域
- 一定規模の建築物が集積する集落
- 既存宅地
- 区域区分が決定された時点で既に宅地であった土地
などが制度の検討対象となる場合があります。
ただし、「対象区域にある=必ず住宅を建築できる」という意味ではありません。
実際には、土地の位置、区域、接道、敷地の状況、建築物の用途などについて、最新の新潟市の基準を確認する必要があります。
分家住宅に該当しない方も一度調査してみる
例えば、
「親が市街化調整区域に土地を持っているけれど、自分は分家住宅の要件を満たしていない」
という場合でも、すぐに諦める必要はありません。
その土地が、
別の制度によって住宅建築が可能な土地ではないか
を調べてみる価値があります。
特に、新潟市の市街化調整区域では、土地によって適用される制度が異なる場合があります。
そのため、インターネットで一般的な情報を調べるだけではなく、実際の土地を特定して確認することが重要です。
分家住宅を建てる前に確認したいこと
分家住宅を検討している方は、少なくとも次の事項を確認しましょう。
土地について
- 所在地
- 地目
- 市街化区域・市街化調整区域の区分
- 農用地区域に入っているか
- 既存集落等の区域に該当するか
- 接道状況
- 土地の面積
- 上下水道・排水の状況
親・本家について
- 親族関係
- 居住年数
- 土地の所有期間
- 所有している他の土地
- 現在の居住地
建築する住宅について
- 自己居住用か
- 専用住宅か
- 建築予定地の面積
- 建物の規模
- 農地転用の必要性
これらを総合的に確認したうえで、住宅建築が可能かどうかを判断します。
分家住宅の手続きは、住宅会社に相談する前に
「家を建てたい」と思ったら、まず住宅メーカーや工務店に相談する方も多いと思います。
もちろん建物の設計や建築について相談することは重要です。
しかし、市街化調整区域の場合には、
そもそもその土地に住宅を建築できるのか
という点を先に確認することをおすすめします。
建築できない土地について設計を進めてしまうと、時間も費用も無駄になってしまう可能性があります。
また、農地転用が必要な場合には、農地法上の手続きにも時間がかかることがあります。
土地を購入する場合には、購入契約を締結する前に、住宅建築が可能かどうかを確認しておくことが非常に重要です。
新潟市の分家住宅・市街化調整区域の住宅建築はご相談ください
市街化調整区域で住宅を建築する場合、一般的な住宅地とは異なり、確認しなければならないことが多くあります。
特に、
「親の土地に家を建てたい」
「実家の近くに住宅を建てたい」
「農地を宅地にして家を建てたい」
「分家住宅の要件に該当するか知りたい」
「分家住宅ではないが、市街化調整区域に家を建てたい」
という方は、まず土地の状況を確認することをおすすめします。
当事務所では、
- 市街化調整区域での住宅建築に関する事前調査
- 分家住宅の要件確認
- 開発許可等に関する手続き
- 農地転用
- 農振除外に関する手続き
- 土地利用に関する関係法令の確認
- 土地家屋調査士・司法書士等との連携
など、土地の状況に応じて必要な手続きをサポートしています。
また、行政書士事務所と土地家屋調査士事務所が併設されているため、農地転用や土地に関する手続きについても、まとめてご相談いただけます。
行政書士からのアドバイス
市街化調整区域にある親の土地を見ると、
「ここに家を建てられたら、土地代がかからないのに」
と考える方は少なくありません。
しかし、市街化調整区域では、土地を所有していることだけを理由に住宅を建てられるわけではありません。
一方で、分家住宅の制度や、新潟市の市街化調整区域における制度を利用することで、住宅建築が可能となる土地もあります。
大切なのは、
「市街化調整区域だから建てられない」と最初から諦めることでも、「親の土地だから建てられる」と思い込むことでもありません。
まずは、その土地について利用できる制度があるのかを調べることです。
新潟市で市街化調整区域の土地に住宅を建てたい方、親の土地に分家住宅を建てたい方は、ぜひ早めにご相談ください。
住宅メーカーに相談する前、土地を購入する前など、できるだけ早い段階でご相談いただくことで、住宅建築が可能かどうかを確認したうえで計画を進めることができます。
新潟市独自の新たな条例の制定
また、新潟市においては、近年、人口減少などにより農村集落の維持が困難となるなど、「市街化区域」「市街化調整区域」の線引きが、農村集落衰退の一因ともなっています。
これらの状況から、市街化調整区域のまちなかや農村集落の維持・活性化を図るため、従来の市街化調整区域の開発許可制度を補完するルールとして条例が制定されました。
条例により住宅などを建てる場合の要件を緩和することで、これまであった所有期間や居住地等の制限が無くなることから、農村集落への移住が容易となり、維持・活性化につながることが期待されています。
条例適用の区域・土地
- 既存集落区域
- 概ね50戸以上の建築物で構成される集落
- 既存宅地
- 区域区分(線引き)した際、既に宅地であった土地
ポイントとしましては、これらの区域・土地には分家住宅でなくても住宅等を建てることができます。
要するに、この地区に何も縁もゆかりもない方も対象になってくるのです。
市街化区域内の土地と比較しても割安になると思われますので、これから住宅を建てようという方は、条例適用区域での住宅を検討してみてはいかがでしょうか。



