耕作放棄地

「何年も耕作していない土地だから、もう農地ではないのでは?」

「田や畑を何年も放置しているので、雑種地に地目変更したい」

農家の高齢化や後継者不足などにより、全国的に耕作されない農地が増えています。

しかし、長期間耕作していないからといって、直ちに農地ではなくなるわけではありません。

実際に当事務所にも、

「何年も田として使っていないので、雑種地に地目変更したい」

「草が生い茂っていて、もう農地には見えない」

といったご相談があります。

今回は、耕作放棄地とは何なのか、地目変更はできるのか、農地転用との関係について、行政書士がわかりやすく解説します。

耕作放棄地とは?

一般に「耕作放棄地」とは、以前は農地として耕作されていたものの、長期間にわたって耕作されておらず、今後も耕作する意思がない土地を指します。

農家の高齢化や後継者不足、農業経営の採算性など、さまざまな理由から耕作されない農地が発生しています。

長期間放置された農地では、

  • 雑草が生い茂っている
  • 木が生えている
  • 農業用機械が入れない
  • 排水状態が悪くなっている
  • 土地の境界が分かりにくくなっている

といった状態になっていることもあります。

一見すると「山林」や「原野」のように見えることもあります。

しかし、見た目が農地ではなくなっていることと、法律上の取扱いが農地ではなくなることは別問題です。

ここが、耕作放棄地を考えるうえで非常に重要なポイントです。

何年も耕作していない土地なら、農地ではなくなる?

結論からいうと、「何年間耕作していない」というだけで、自動的に農地ではなくなるわけではありません。

例えば、市街化調整区域内にある田や畑を数年間放置していたとします。

草木が生い茂り、現在はまったく耕作していなかったとしても、

「もう農地として使っていないから、雑種地に地目変更してください」

というだけで、簡単に地目変更できるとは限りません。

農地としての実態や土地の状況を確認したうえで、農地法上どのように取り扱われるのかを判断する必要があります。

つまり、

「耕作していない=農地ではない」

とは考えないことが大切です。

「耕作放棄地だから雑種地にする」はできる?

ここも非常に多い誤解です。

例えば、登記上の地目が「田」や「畑」である土地について、

「何年も使っていないので雑種地に変更したい」

と考える方がいます。

しかし、耕作をやめたことだけを理由として、自由に「雑種地」へ地目変更できるわけではありません。

もし、

「耕作しなければ農地ではなくなる」

という扱いになってしまえば、意図的に農地を放置することで農地法の規制を免れることができてしまいます。

そのため、耕作放棄地についても、農地法上の取扱いを確認することが必要です。

特に、

  • 市街化調整区域にある
  • 登記地目が田・畑になっている
  • 現在も農地として利用できる状態が残っている
  • 将来的に住宅や駐車場、資材置場などとして利用したい

といった場合には、自己判断で地目変更を進めないことをおすすめします。

耕作放棄地を住宅や駐車場にする場合は?

耕作放棄地を、

  • 住宅
  • 駐車場
  • 資材置場
  • 事業用地
  • 倉庫
  • 太陽光発電設備

などに利用したい場合には、単に地目を変更するだけでは済まないことがあります。

農地を農地以外の用途に利用するのであれば、農地転用の手続きが必要になる場合があります。

また、土地の場所によっては、

  • 農用地区域に入っているか
  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 農地の区分はどうなっているか
  • 農振除外が必要か
  • 都市計画法上の許可が必要か
  • 道路や排水の問題がないか
  • 土地改良区との関係があるか

など、農地法以外の確認も必要になります。

そのため、耕作放棄地を活用したい場合は、「地目変更ができるか」だけではなく、「希望する土地利用がそもそも可能なのか」を最初に確認することが重要です。

農地転用の許可を受けなくても地目変更できる場合がある

一方で、すべての耕作放棄地について農地転用の手続きが必要になるわけではありません。

土地の状態や経緯によっては、農地として取り扱われないと判断され、農地転用の許可を受けずに地目変更できるケースもあります。

例えば、一般的には次のようなケースが考えられます。

① 昔から農地ではなくなっている土地

かなり以前から農地として利用されておらず、農地法上の農地として取り扱うことが適当でないと判断されるケースがあります。

ただし、単に「昔から使っていない」というだけで判断できるものではなく、土地の状況や過去の利用状況などを確認する必要があります。

② 森林化・原野化が著しく、農地として利用するには大規模な整備が必要な土地

長期間放置された結果、森林や原野のような状態になり、農地として利用するためには、通常の耕作再開を超える大規模な整備が必要となっている場合があります。

例えば、

  • 樹木が生い茂っている
  • 表土が流出している
  • 岩石が露出している
  • 農地として復旧するために大規模な造成が必要

などです。

このような場合には、土地の状況を個別に確認する必要があります。

③ 周囲の土地などからの影響により、農地としての利用が困難になっている土地

周囲の山林などから、

  • 雑木の根
  • 種子
  • 土砂
  • 水
  • 日照など

の影響を継続的に受け、農地として維持・利用することが著しく困難になっているケースもあります。

ただし、これらに該当するかどうかは、実際の土地の状況を確認して判断する必要があります。

「耕作放棄地だから地目変更できる」という単純な判断はできません。

「田」「畑」のまま住宅が建っている土地もある

実務上、よく見かけるのが、

現在は住宅が建っているのに、登記上の地目が「田」や「畑」のままになっている土地

です。

「住宅が建っているのだから、当然、地目も宅地になっているはず」

と思われるかもしれません。

しかし、実際には現況と登記上の地目が一致していない土地が存在します。

例えば、過去に農地転用の手続きを行って住宅を建築したものの、その後の地目変更登記が行われていないケースなどです。

このような場合には、

「現在も地目が田だから、無断転用だった」

と直ちに判断することはできません。

過去に農地転用の許可・届出が行われているかどうかなどを確認する必要があります。

「地目が田・畑=無断転用」とは限らない

これは非常に重要なポイントです。

例えば、昔に農地転用の許可を受けて住宅を建てたものの、登記上の地目変更をしていない場合があります。

この場合、

  • 農地転用の手続きは行われている
  • しかし地目変更登記がされていない

という状態です。

したがって、登記簿の地目だけを見て、

「田になっているから無断転用だ」

と判断するのは適切ではありません。

過去の農地転用許可書や届出書、農業委員会の記録などを確認することが重要です。

地目変更が必要になるケースとは?

不動産登記では、土地の現況が変更され、登記上の地目と異なる状態になった場合には、地目変更登記が問題となります。

例えば、

「農地転用をして住宅を建てたが、登記上の地目が田のまま」

という場合には、過去の農地転用手続きの有無を確認したうえで、地目変更登記を検討することになります。

特に、

  • 土地を売却する
  • 土地を担保に融資を受ける
  • 建物を新築する

といった場面では、登記上の地目と現況が問題になることがあります。

そのため、できるだけ早い段階で確認しておくことをおすすめします。

耕作放棄地の活用を考えるなら、最初の調査が重要

耕作放棄地について相談を受けた場合、いきなり農地転用の申請書を作るのではなく、まずその土地がどのような土地なのかを調査することが重要です。

例えば、

  1. 登記記録を確認する
  2. 公図・地図を確認する
  3. 現地を確認する
  4. 農業委員会に確認する
  5. 農地の区分を確認する
  6. 農振農用地区域か確認する
  7. 都市計画法上の区域を確認する
  8. 希望する土地利用が可能か確認する
  9. 必要な許可・届出を整理する

という流れで確認します。

特に、「この土地を住宅にしたい」「駐車場にしたい」「資材置場にしたい」など、土地の利用目的を明確にすることが大切です。

同じ耕作放棄地であっても、土地の場所や状態、利用目的によって必要な手続きが変わるからです。

耕作放棄地について行政書士に相談するメリット

耕作放棄地の問題は、単純に「農地転用の申請書を書けば終わり」というものではありません。

実際には、

  • そもそも農地に該当するのか
  • 農地転用が必要なのか
  • 農地転用の許可を受けられる可能性があるのか
  • 農振除外が必要なのか
  • 都市計画法の手続きが必要なのか
  • 地目変更が可能なのか
  • 過去に無断転用されていないか

などを一つずつ確認する必要があります。

専門家に相談することで、最初に必要な調査を行い、土地活用まで含めた手続きを整理しやすくなります。

まとめ|「耕作していない=農地ではない」と考えないことが大切

耕作放棄地について、最も注意していただきたいのは、

「何年も耕作していないから、もう農地ではない」

と自己判断しないことです。

登記上の地目が「田」「畑」であり、現在耕作されていない土地についても、農地法上の取扱いを確認する必要があります。

一方で、土地の状態や過去の経緯によっては、農地転用の手続きを経ずに地目変更できる可能性がある土地もあります。

そのため、

「耕作放棄地だから農地転用が必要」
「耕作放棄地だから地目変更できる」

と一律に判断するのではなく、個別に土地の状況を確認することが重要です。

新潟市及び新潟市近郊で耕作放棄地についてお悩みの方へ

当事務所では、耕作放棄地について、

  • 農地に該当するかどうかの確認
  • 農地転用の可否の調査
  • 農地転用許可・届出
  • 農振除外に関する手続き
  • 土地利用に関する関係法令の確認
  • 地目変更に関する司法書士との連携

などを行っています。

特に、

「何年も放置している田を売却したい」

「耕作放棄地を駐車場にしたい」

「田を宅地として利用したい」

「登記地目が田・畑のままになっている」

といった場合には、まず現在の土地の状況を確認することをおすすめします。

農地転用ができるのか、地目変更ができるのか、そもそも希望する土地利用が可能なのか。

これらを最初に確認することで、その後の手続きをスムーズに進めることができます。

耕作放棄地の活用や地目変更についてお悩みの方は、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。

農地転用や土地開発に関するお問い合わせ
ご相談は面談にて承ります
ご相談料(1時間あたり)
農地転用・土地活用のご相談 11,000円(税込)
お電話でのお問い合わせ

「土地活用」のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-12:00 / 13:00-17:45(土日祝休み)
   
メールでのお問い合わせ


    ご相談は面談にて承ります
    ご相談料(1時間あたり)
    農地転用・土地活用のご相談 11,000円(税込)

    ページトップへ戻る